内 容 |
大阪貿易会社は、20世紀前半のフィリピンで日系の主要な貿易会社の一つとして、貿易事業の傍ら、複数の百貨店の運営にも関わっていました。わたしたちは、創業家のひとつ松井家に関連する資料(映像、写真、文書等)をデジタル化し、それらを整理・分析する作業を行っています。また、メンバー藤岡洋(京都大学)による複数のデータフォーマットとリンク可能な独自のデータベースシステムの開発も進めています。
特に注目すべきは、51本の16ミリ映像で、これらは1920〜30年代のフィリピンの日系人コミュニティや風景、当時の日比間の物流や人々の移動を映し出す貴重な資料です。このたびその一部を4K化しました。
今回のイベントでは、昨年に続き、当時フィリピンへ輸出された日本の製品を紹介する映像(ca.1933)を、2本上映します。企業関係者や研究者をお招きし、映像を観ながら自由に意見交換ができる場を提供することを目的としています。
登場する製品例: 日本酒(白鶴), ウィスキー(サントリー)、ミルクチョコレート、キャラメル、カルミン・ウェハース(明治製菓)、醤油(キッコーマン)、味の素、缶ミルク(明治乳業)、北海道バター(雪印)、リボン印シトロン(サッポロホールディングス)、ビール(アサヒビール)など。仁丹(森下仁丹)の当時の看板も。
登壇者 米野みちよ(静岡県立大学)「1930年代フィリピンにおける日本人と大阪貿易会社――映像と写真で紐解く歴史」 小島浩之(東京大学)「歴史資料・企業資料としての映像 : 1930年代のフィリピン映像資料の歴史的価値と意義」 藤岡洋(京都大学)「動画データベースの制作――松井家映像資料の試み」
上映作品 映像の上映1「#47広告の実験―編集済映像(ca.1923)」(新規4K化) 映像の上映2「#33 広告の実験―未編集映像(ca.1923)」(本邦初公開4K映像)
主催:科研費基盤研究一般(B)「米領フィリピンにおける日本人商業活動と大阪貿易会社関連資料のデータベース化」(24K03167)プロジェクト(代表 米野みちよ 静岡県立大学)
協力:岡田泰平研究室(東京大学)・静岡県立大学グローバル・スタディーズ研究センター https://ceglos.u-shizuoka-ken.ac.jp |