この度、公益社団法人日本図書館協会から「図書館資料としてのマイクロフィルム入門」が刊行されました。 東京大学大学院経済学研究科講師の小島浩之先生が中心になって共同執筆されたマイクロフィルムの取扱いについて解説された実践書です。 従来のマイクロフィルム入門と題された著書にはなかった幅の広い構成で、あるいは最盛期を過ぎようとしているかもしれないマイクロフィルムの世界を見事に描写し、図書館員だけではなく資料保存と活用に関わる多くの人に読んでもらいたいと感じた。
第T部の「フィルム資料の基本」では、マイクロフィルムの基礎知識、メディアとしてのマイクロフィルム、製造・撮影現場からみたマイクロフィルムの3章構成で、ここでは特にマイクロフィルムの役割について再確認させられる。
第U部の「マイクロフィルムの劣化と保存環境」では、まさしく企業史料協議会の会員が現実に苦労している一般写真フィルムの保存の問題に対する回答が充分に説明されている。ここではこの第U部の目次を抜粋して掲載します。
1章 マイクロフィルムの保存と劣化対策 1.1 マイクロフィルムの劣化とその要因 (1) 劣化とは何か (2) マイクロフィルムの長期保存のための三要素 (3) ビネガーシンドロームと酢酸による影響 (4) 変色と褪色 (5) 温湿度に起因する劣化症状 (6) 非銀塩画像フィルムの劣化 1.2 マイクロフィルム劣化対策の基本 (1) 温湿度管理 (2) フィルムの分離保管 (3) 放散作業 (4) 包材交換 附設 水損フィルムの復旧について 2章 フィルムの保存環境 2.1 資料保存のための環境整備 2.2 温湿度管理とカビ対策 (1) 温湿度管理 (2) カビ対策 2.3 空気清浄と酢酸対策 (1) 空気清浄 (2) TACフィルムから放散される酢酸への対策
第V部の「現状と課題」では、日本の図書館におけるマイクロフィルムの保存と現状、マイクロフィルム保存のための方策の2章構成で、前者では公的な統計をふまえて行った19機関の訪問調査、さらにそのデータに基いて行った全国的な質問紙調査の結果が丁寧に記されている。後者ではフィルムの劣化の前兆を察知してどう行動するか、これは一般写真フィルムにも当てはめることが出来、とても参考になると感じた。
記:企業史料協議会・研修部会
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