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本協議会主催ビジネスアーキビスト研修講座講師を講座開設以来務めていただいている麗澤大学教授佐藤政則先生による企業資料管理に関わる資料が、同大学経済社会総合研究センターのWorking PaperシリーズのNo60として「麗澤大学学術リポジトリ」で公開されています。目次をご紹介します。

[目次]
はしがき
1. 寄稿:「企業アーカイブへの期待─歴史的資料で組織を支える」
帝国データバンク史料館編『別冊Muse-企業と史料-』2012年10月

2. 寄稿:「野心的ビジネスアーカイブの構築を」
日本経営協会『OMNI-MANAGEMENT』2012年2月号

3. 講義資料:「社内文書を歴史資料に整備し現在と将来に活かす─資料の収集、評価・選別、管理と活用─」
企業史料協議会 第18回ビジネスアーキビスト研修講座 2013年10月25日

4. 口述記録:「企業アーカイブへの提言 No.10
旧DNP年史センター"ねんりん"インタビュー 2002年7月23日取材

5. 口述記録:「史料の収集と管理および付属資料・三菱製紙での資料収集と整理」
企業史料協議会 第1回ビジネスアーキビスト養成講座 1992年5月28日

6. 口述記録:「銀行史の編纂および配布資料」
全国地方銀行協会調査部 第3回年史懇談会 2001年11月8日

全文はこのページの一番下のURLからご覧ください。(PDF 137ページ)

ワーキングペーパーに関する詳しい情報は

https://reitaku.repo.nii.ac.jp/?action=pages_view_main&active_action=repository_view_main_item_detail&item_id=517&item_no=1&page_id=13&block_id=29

をご覧ください。なお、こちらのURLはハイパーリンクとなっておりませんので、コピーの上、ご利用中のブラウザのアドレスバーに貼り付けてください。


 

印刷博物館ライブラリーの山崎美和さんによる「資料紹介」の概要を掲載いたします。

専門図書館協議会機関誌『専門図書館』264号(2014年1月)の「資料紹介」の欄(同号63-64ページ)に、当協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』が取り上げられました。執筆者は印刷博物館ライブラリーの山崎美和さんです。

山崎氏は、

「『企業アーカイブズ』とは何か。何の役に立つのか。活用するために、具体的には何をすればよいのか。経営陣にも現場担当者にも、その手引きとなるのが本書である」
(同記事より引用。『専門図書館』264号、63ページ)

「残す価値がないと思われた資料でも、後に製品または事業改善の手掛かりになったり、裁判勝訴のための決定的証拠となることもあるので、経営者とアーカイブズの現場だけではなく、社内各部署の管理職にも読んで欲しい一冊である」(同64ページ)

と述べておられます。詳しい紹介は『専門図書館』264号をご覧ください。





 

学習院大学大学院の清水ふさ子さんによる書評の概要を掲載いたします。

全国歴史資料保存利用機関連絡協議会(全史料協)の会誌『記録と史料』24号(2014年3月)の「書評と紹介」欄に、当協議会編『企業アーカイブズの理論と実践』が取り上げられました。執筆者は学習院大学大学院の清水ふさ子さんです。
(同号68-70ページに掲載)

清水氏は、

「何といっても初の企業アーカイブズ実践本ということが大いに評価されるべきだろう。特に企業アーカイブズに関わっている人であれば”欲しい情報はこれだった”と思う担当者も多いはずである」

(同記事より引用。『記録と史料』24号、70ページ)

と述べておられます。詳しい書評は『記録と史料』24号をご覧下さい。



 

『日本経済新聞』2013年12月22日朝刊21ページに、当協議会編による『企業アーカイブズの理論と実践』が掲載されました。

「本書は企業アーカイブズの効用を分かりやすく説くとともに、実例をもとにどのようにすれば構築が可能かを解説した、まさに実践的な本」(同記事より引用)

との評価をいただいております。 

11月29日に9日間全講座が終了しました。全課程を受講いただいた9名の方に修了証を発行しましたのでお名前を掲載してご報告いたします。

アサヒグループホールディングス株式会社
     宮下 毅
株式会社高島屋
     高橋 宗久
株式会社高島屋
     田中 喜一郎
東京国立近代美術館フィルムセンター
     和田 泰典
凸版印刷株式会社
     川合 健生
凸版印刷株式会社
     前田 真
日本フィルコン株式会社
     青柳 右文
丸紅株式会社
     岩佐 美奈
ライオン株式会社
     市村 洋

どうも有難うございました。
(企業史料協議会・事務局)
 

11月29日応用コースの5日目(全体で9日目)が終了しました。内容の速報をお届けします。

 本年(第18回)の最終日となった応用コース5日目は、それぞれアーカイブズにかかわる施設をテーマとした2コマの講義で構成された。
 1コマ目は、たばこと塩の博物館(東京都渋谷区)の学芸部長である半田昌之氏による、「博物館の運営」をテーマとしたお話であった。1978年の開設時から同館の運営に携わってこられた一方、現在は公益財団法人日本博物館協会の専務理事も務められており、博物館全般の運営の中でとくに企業博物館に特徴的な部分について、実体験を踏まえてご説明いただいた。
 2コマ目は、企業資料をはじめ、古文書、経済学関係の古典籍や博物資料まで幅広く対象とする収集アーカイブズの事例として、東京大学経済学部資料室の施設見学を行った。東京大学大学院経済学研究科の特任助教である矢野正隆氏に資料室の概要についてご紹介いただいた後、資料閲覧室、荷解室、保存処置室、保存庫を参加者全員で実際に見て回った。

(記:大日本印刷株式会社 村田孝文)


 

当協議会会員(理事)・公益財団法人 渋沢栄一記念財団の松崎裕子氏作成。

 2013年度に開催された全国歴史資料保存利用機関連絡協議会の全国大会(11月14日〜15日、於:学習院大学)では、当協議会理事 松崎氏によるポスターセッションがおこなわれました。
 タイトルは「企業アーカイブズの意義と価値をいかに伝えるか?」。創立30周年以降現在までの企業史料協議会の体制や活動が概観され、当協議会編集の図書、「企業アーカイブズの理論と実践」も紹介しています。


 同ポスターが公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター・ブログで公開されています。企業史料協議会の理解を深める参考にぜひご一読ください。
 

11月22日応用コースの4日目(全体で8日目)が終了しました。内容の速報をお届けします。

@ 企業アーカイブズでの資料保存と資料管理
     東京文化財研究所 佐野千絵先生
A 資料の劣化要因と保存対策
     特種紙商事株式会社 秋田若登氏

 今日は、資料を保存する際の場所や空間などの大環境の問題と、保存容器などの小環境の問題に分けての講義であった。

 佐野先生からは、資料保存の考え方が処置中心であった昔から、予防中心に変化していることをふまえて、劣化に大きな影響を与える温湿度の問題を中心に多岐にわたって教えていただいた。
 秋田氏には、紙の性質のことから保存容器に入れる効果、あるいは、保存容器の導入事例などをお話いただいた。
 
 全部をお聞きして、やはり前もっての措置の大切さが良くわかった。

(記:株式会社コスモスインターナショナル 岡田泰吉)
  

11月15日応用コースの3日目(全体で7日目)が終了しました。内容の速報をお届けします。

 「著作権について」 ライツ法律特許事務所・弁護士 伊藤 真

2コマ連続講義で著作権の基本情報や、年史制作、アーカイブに際し必要な着眼点など有益な話であった。事例を取り上げた講話部分はより具体的で、自分の過去の仕事で遭遇したことと照らし合わせて多くの疑問点が出てきた。たいへん興味深かった。

(記:凸版印刷株式会社 檜垣茂) 

11月8日応用コースの2日目(全体で6日目)が終了しました。内容の速報をお届けします。

 応用コース2日目は、社史をテーマとした2コマの講座であった。
 前半では、一橋大学大学院商学研究科の橘川武郎教授から、社史の役割、社史が備えるべき要件、社史(および社内の史資料)の戦略的活用、といった内容でのお話をいただいた。経営史の専門家として1980年代から多くの社史を執筆・監修してこられた経験にもとづいた、明快な講義であった。
 後半は、企業史料協議会の上田和夫理事による、花王株式会社在職時代に自ら携わった「花王ミュージアム」の設立と社史『花王120年』の編纂についての体験談であった。OBや社員へのヒアリングを活用して、トータル約1000ページの書籍版と約2時間の映像版(DVD)を刊行した当事者の報告に、受講者からもさまざまな質問が飛んだ。

(記:大日本印刷株式会社 村田孝文) 

11月1日応用コースの1日目(全体で5日目)が終了しました。内容の速報をお届けします。

@企業資料デジタル化の基礎と課題 
       株式会社堀内カラー 肥田康氏
A企業資料デジタル化のグループディスカッション
       尚美学園大学 樫村雅章准教授
       株式会社堀内カラー 川瀬敏雄氏 肥田康氏

 講座での初めての試みとして、2コマ目でグループディスカッションが行われた。通常は、講義の終了後に質問があって、答えるという形式であるが、今回はスタートから講師と受講者が自由に話し合うという形であった。肥田氏の講義は丁寧でわかりやすかったが、さらにその内容をふまえて、樫村先生を司会役に3人の布陣でテーマごとに理解を深める話し合いを受講者と行うという構成は成功であったと思う。
 それとは別に、全体として感じたことは、企業資料のデジタル化というテーマは範囲が広くならざるを得ず、やはり、デジタル化の技術的な側面と、デジタル(化)資料の管理の側面は別々に時間をとって行うという構成が良いのではないかということであった。

(記:株式会社コスモスインターナショナル 岡田泰吉) 

10月25日入門コースの4日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

 「資料の収集、評価・選別、管理と活用」
  麗澤大学大学院 佐藤政則教授

 デジタル史資料の収集と管理の実際的なお話でした。今回は具体的な史資料を扱う上での基本的な考え方とそのステップの内容で、実務に携わる担当者にとっては良い指針になったのではないかと思います。企業アーカイブの取り組みにはスタンダードはなく、企業の実情や社風に合わせて形作られる、そこには「見栄はいらない、意地が必要」は私にはとても明快で印象的でした。
(記:凸版印刷株式会社 檜垣茂)

 

10月18日入門コースの3日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

 入門コース3日目の前半は、記録管理学会会長を前に務められていた、出版文化社アーカイブ研究所の小谷允志所長を講師に迎え、主に現用文書を対象とするレコードマネジメント(記録管理)の現状に関しての概論をお聞きした。2011年に施行された公文書館理法の趣旨も踏まえつつ、現代の企業における記録管理の意義や課題について、事例を交えながらご説明いただいた。

 後半は、渋沢栄一記念財団の松崎裕子氏から、「企業アーカイブズとは」というテーマにズバッと切り込んだお話を伺った。国際アーカイブズ評議会(ICA)でも活躍されているお立場であり、海外企業のアーカイブズに対する取組みもご紹介いただきながら、企業のアーカイブズ担当者(企業アーキビスト)に求められる役割、果たすべき使命について、多面的に解説していただいた。

(文責:大日本印刷株式会社 村田孝文)

 

10月11日入門コースの2日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

 明治時代から現代に至る「企業と史資料」について東京大学大学院経済学研究所の武田晴人教授のお話でした。史資料を考える入門編として過去の史資料の見方、取り組み方を考える興味深い講義でした。
 史資料から一企業の歴史の流れを省みるとき、国内外の制度上の変化や社会環境を頭に入れて史資料と向きあうことの重要性が講義のポイントのひとつのように思いました。明治時代から昭和は日本の産業界にとって環境が大きく移り変わった時代です。一企業に捉われた見方でなく、当時の社会情勢や通信環境からその史資料がなぜ作られたか考えることはとても意義深いことであり、そうすることで史資料は意味をなし、説得性のあるものになるのだということではないでしょうか。終戦後GHQの要請で将来各々の企業が何を手がけるのか求められたそうです。おそらく生き残りのために作文もあったのではないかと思いますが、先人たちが生き残りのためにおそらく懸命に努力したことと思います。ぜひ一度いろいろな企業のものを見てみたいものです。
 史資料への向き合い方は、過去資料にだけでなく、現在作られている資料にもあてはまることと考えます。資料はたった一年経つとどのような意味のものかわからなくなることがしばしばです。目まぐるしく変化するIT上で残される資料はなお更のことではないでしょうか。活かす資料として残すことの大切さはアーカイブに携わる人にとって重要な課題なのかもしれません。

(文責:凸版印刷株式会社 檜垣茂)

 

10月4日入門コースの1日目が終了しました。内容の速報をお届けします。


 アーキビスト研修講座のスタートのカリキュラムは安藤正人先生のアーカイブズの総論であった。アーカイブズを情報の資源ととらえ、その資源とは文化資源、社会資源、組織資源という多目的なものであるというお話はとてもわかりやすい。そして、その機能を行政の場合と企業の場合に分けて説明された。さらに、アーカイブズのない国家は考えられないと同様に企業にとってのアーカイブズの必要性を強調された。総論でありながら豊富な事例を示され、様々な想像をしながら学ぶことが出来た。加えて、アーキビストの役割や育成の課題、記録のライフサイクルを通した管理システムなどの各論の入口にも触れられ、時間の足りない2時間50分であった。

(文責:株式会社コスモスインターナショナル 岡田泰吉)

 

「写真資料のデジタル化 ― 銀塩写真の保存と活用事例」   株式会社コスモスインターナショナル 岡田泰吉

1.デジタル化によって考え方の変化が起きている

 写真資料の活用と保存を考えるとき、今年になってから今までにない特別な感想をもつようになった。それはデジタル化との関係です。従来の考え方、デジタル化しても元の写真(銀塩写真:注)は大切なものとしてそれまでと同じように保存していく、が変わり始めたのではないかという危惧です。紙資料の場合の原本は、その質感などを含めてデジタルデータには求められない豊かな情報を持つ、という観点からも大切にされている側面があります。

 写真の場合、今までは、銀塩写真は大切なものという精神的な考え方や、デジタルデータとの再現性の差、真正性、長期保存性などの現実的な考え方が支えになって大切にされてきました。実際には、銀塩写真とデジタルデータの差が表現力という比較ではどんどん縮まっていますし、特にフィルムの場合のビネガーシンドロームによる保存の将来への不安などにより、その支えも危ういものになってきたという危惧です。

 紙資料にしろ写真資料にしろ、従来のように必要に応じてデジタル化していた時代から、すぐには活用の要請がないのに先行してデジタル化する時代へと変わってきています。これが原本保存、銀塩写真保存に対する考え方を変えてしまったと思えてなりません。このことがいいのか悪いのか、時間を経て、銀塩写真の、とりわけ原板といわれるフィルムが希少価値で語られる恐ろしい時代だけは来てほしくないと願うばかりです。

 しかし、この先行してデジタル化するをやらなければ、デジタルの活用が進まないのも事実です。

2.活用の素晴らしい事例

 写真資料は画像単独では利用可能な資料として完結しない、付属情報を確定することが利用に際して不可欠である、と奈良女子大学の島津良子非常勤講師は「劣化する戦後写真」(岩田書院ブックレット)の中で述べられています。(12頁)

 写真を管理する時の実際を考えてみましょう。活用を促進するためには検索用に小さな画像でもいいから、将来の活用が期待される全点をデジタル化する。

 このステップのあと、すぐ次に進んだ事例を紹介します。

 企業ではないのですが、新潟県十日町市古文書ボランティアの事例です。100年の歴史を持つ市内の写真館から約48,000点の写真の寄託を受け、全点をデジタル化し、1点1点の内容情報(時代、場所、状況など)を調査し、資料カードに記録する作業に取り組みました。その調査とは、平成22年10月から十日町市古文書ボランティアを中心に十日町市情報館と博物館が協働して行っているものです。情報館で写真展をくり返し開催し、市民からの情報を集めるという方法です。これにより100年の社会、風俗、文化、産業、教育、自然など、まさに十日町市の歴史が画像で甦りました。副産物として、市民からのさらなる写真の提供希望があるということですし、市民がこうした作業に携わること自体が写真の活用といえるのではないか。かかわった人が皆、これを「地域の宝」にしていく活動と位置づけているそうです。全点がデータベースに登録され、一部は来館者が自由に検索できるようになっていると同時に、将来はWEBでの公開も検討され、さらに全ての銀塩写真の保存対策がきちんと採られているという素晴らしいプロジェクトです。

 その後、いくつかの自治体から写真整理の相談があるたびに、この事例を話します。一様にすごいな、やりたいなという話にはなっても、実現には困難が多く、実行できません。しかし、小さな規模でもいい、この方式を学んで成功する事例が次に続くことを願っています。

 企業に於いても、努力することによって、後付データの収集が何らかの方法で可能ならば、そのままでは使えない多くの写真が生き返ります。トライする価値はあると思います。

(注)支持体(ガラス乾板、フィルム、印画紙など)の上に感光性の乳剤層が塗布され、露光すると乳剤層が光を記録し、現像処理によって画像が形成される(黒白画像の場合)写真方式で、最近ではデジタル写真と対比して使われることが多くなった。

                                                  以上

「資料管理の情報」へのご質問、ご要望は研修部会の専用メールへお寄せください。
kenshu@baa.gr.jp



 

「デジタル画像データの品質について」        株式会社堀内カラー 肥田 康
                          

(1)はじめに
 連日猛暑が続きますが、皆様お元気でお過ごしでしょうか?スーパークールビズで暑さをしのぎ、キンキンに冷えたおいしい生ビールを飲んで何とかこの夏を乗り切りたいものです。
 さて、ご挨拶が遅れましたが、私は竃x内カラー・アーカイブサポートセンターの肥田(ひだ)と申します。今回から不定期になりますが(出来るだけがんばって2〜3ヶ月で更新します)、資料のデジタル化をテーマに、デジタル画像にまつわる様々なお話を掲載させていただきます。
 
 第1回目は「デジタル画像データの品質について」と言うテーマでお話をさせていただきます。

(2)資料デジタル化の歴史
 我が国のデジタルアーカイブの歴史はそれほど古いわけではありません。 弊社では1999年にデジタルアーカイブを専門事業とするアーカイブサポートセンターを立ち上げましたが、当時はお客様にデジタルアーカイブの言葉の意味からご説明しなければならないほど認知度が低い状況で、かなりニッチな世界でした。また、当時は「文化財を銀塩フィルムではなく、デジタルカメラで撮影するとは甚だ不見識である」等のお叱りを頂戴したりしたこともありました。あれから15年あまりが経過し、今では一般の方でもデジタルアーカイブと言う言葉の意味は共通して理解できるものとなり、また、銀塩フィルムの衰退やデジタル機器の高性能化が促進されたとは言え、今日では文化財をデジタルカメラやスキャナーを用いてボーンデジタルデータとして取り込むのが当たり前となっていることを考えると、まさに隔世の感があります。
 基盤技術の歴史を振り返ってみても、画像の標準フォーマットであるTIFFが開発されたのが1986年、JPEGがISOに出されたのは1994年、IIJが商用のインターネットサービスプロバイダーを始めたのが1992年、一般家庭で現在の様にPCで画像を扱える様になったのは1995年のWindows95以降ですから、わずか20年あまりの非常に歴史の浅い技術と言えます。

(3)資料デジタル化の目的
 私たちの企業活動における日常の業務でも紙の資料は徐々に減り、以前は紙の資料で各部署に回覧されていたような業務通知等も、最初からデジタル化されているPDF等のデータがメールに添付されて送られてきたり、ポータルサイトからダウンロードしたりするようなことが多くなっています。
 また、企業史にかかわるような資料を扱う部署の皆様の間でも、これまでのように原資料を扱うだけではなく、それらをデジタル化して利活用する機会が増えているのではないでしょうか。企業が所蔵する貴重な資料のデジタル化を実施するのは、おおむね以下のような理由が挙げられると思います。
 
 @ 資料の経年劣化による長期保存への心配
 A 大量の資料をデータベースで検索することによる利活用の促進
 B 収納コストの低減
 C デジタル社会への対応
 
 他にも様々な理由があると思われますが、いずれにしても資料デジタル化への内的・外的なニーズはますます高まってきていると言えます。また、企業の皆様がデジタル化を検討される際の重要な要素に「どのくらいの費用がかかるか」と言うことが挙げられると思います。資料がどのくらいあるのか、資料がどのくらい重要であるのか、何年くらいかけてデジタル化するのか、デジタル化を内製するのか、外部の業者に委託するのか、どのような品質でデジタル化するのか等の要素により、費用は異なりますが、当然のことながら、デジタル化された画像データの品質も異なります。

(4)画像データの品質
 それでは、画像データの品質をどのように評価すれば良いのでしょうか。資料をデジタルカメラで撮影したり、スキャニングしたりする場合に「入力解像度」という目安があります。確かに、そもそも入力解像度が不足していれば、必要な情報を解像することができません。しかしながら、ここで誤解の無いように気をつけなくてはならないのは、入力解像度は決して「品質を担保する数値」ではなく、あくまでも最低限必要な指標に過ぎないということです。なぜなら、同じ入力解像度でデジタル化した画像データであっても、どの様なイメージセンサーで、どのような手法によってその画像データが作成されたかによって実解像度は異なり、画像の品質は大きく異なるからです。
スキャニングやデジタルカメラの撮影により作成した画像データの品質を考えるにあたり、デジタル画像の構成要素を考えてみましょう。
 
 デジタル画像の構成要素は、おおよそ以下の三つに集約されると思われます。
 
 @ データ形式(ファイルフォーマット)
 なるべく多くの利用者が使用しているものが安全です。また、データ構造が単純であるほど将来的にエミュレーションやコンバートが容易であると考えられます。現在では、最も利用度が高く、圧縮等による劣化のない非圧縮TIFF形式が適当であると思われます。
 A 色空間(画像が最下段に表示されています)
 一般的なRGB画像データで使用される色空間は、使用目的に応じて選択すればよいのですが、重要なのは、一度狭い色空間にマッピングしたデータは、再度広い色空間にマッピ ングしても元には戻らないということです。現状でのデジタルデータ利用の大半がsRGB 対応モニターでの鑑賞であるとすれば、sRGB色空間でほとんどの用途には充分と言うこ ともできます。しかしながら、人間の認識する色空間や、印刷標準であるジャパンカラ ー2001の色空間はsRGBの色空間よりも広いので、少なくとも絵画資料や高精度印刷を目 的としたデジタル画像データではAdobe RGBの色空間が望ましいと言えます。
 B 細部の表現力(分解能力を担保したデータ容量、解像度、bit深度)
 データサイズと解像度は必ずしも比例するものではありません。デジタル画像の解像 力、色調の再現性や階調の再現性に影響を与える要素は、

 ・画像データの縦横の画素数
 ・レンズの分解性能
 ・フォーカスの精度
 ・光源の性能
 ・CCDとその周辺回路の性能

等が考えられます。

 上記で示した@A以外の要素を定量的に評価する事は極めて困難で、容易に評価出来るような適切なターゲットを見かける事はありません。このことが「デジタル画像データの品質=解像度・データ容量」の誤解を生み、評価が困難な事にもつながっています。今後、爆発的に増加する画像データの品質を、定量的・客観的に評価するような組織ができるべきだと思います。つまり、食品であればJASがその品質を規格化するように、画像データについてもその品質を「特級」、「上級」、「標準」等と規格化できれば良いと思っています。

(5)おわりに
 僅か15年足らずの間に、デジタルアーカイブの裾野は大きく広がり、日々、様々な品質の画像データが大量に作製される時代となりました。タブレットやスマートフォン等の新しい情報ツールが出現し、さらにSNSやツイッター等のコミュニュケーションが普及した今日では、国政選挙の行方さえも左右しかねない、まさに情報の爆発と言える時代を迎えています。
 企業の皆様が資料のデジタル化を検討する場合には、「何を目的にデジタル化するか」と言う目的指向型のデジタルアーカイブを念頭に、必要にして充分なデジタル化を行っていくことが重要であると思います。また、資料のデジタル化について様々なケースで適切な判断を下すことが出来るように、外部の専門家をパートナーとして活用することも有効な手段ではないかと思います。
                                      以上

「資料管理の情報」へのご質問、ご要望は研修部会の専用メールへお寄せください。
kenshu@baa.gr.jp 

「企業史資料のデジタル化に向けて」―その取り組みと活用―

 4月26日に中央大学駿河台記念館に於いて研修部会担当の上記セミナーが開催されました。このセミナーの詳細は企業史料協議会/ホームページの「活動情報」>「報告」>「協議会主催」>「研究会」でご覧いただけます。
 61名が参加され21名の方からアンケートの回答をいただきました。全体によかったというご意見が多かったのですが、抜粋させていただき、重点的にご提案ないしご希望を掲載いたします。

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○ デジタルの事例を聞きながら皮肉にも原物保存の大切さを再認識した。
○ デジタル化は各社各様でも基礎のマスターデータ整理の大切さが改めて判った。
○ 個別事例を重ねることで普遍に到達する、これも意義がある。
○ 個別事例をもっと沢山知りたい。
○ デジタル関連のテーマは定期的に。
○ 業務、実務に特化した内容が欲しかった。
○ デジタル化して保存することを検討する時、システムについて様々なことを考えなければいけないことが判った。

 以下は今後のセミナーに於いて取り上げて欲しいテーマです。

○ 社史編纂の手法について聞きたい。
○ このテーマで受講者参加型のセミナーを希望する。
○ 映画フィルムのビネガー・シンドロームの対応策。
○ 映像(映画、ビデオ)、画像(フィルム、プリント)、音声情報の原物保存対策。 
○ モノ資料に於けるアーカイブズを取り上げて欲しい。
○ 写真資料デジタル化とデータベースの構築について。
○ ボーンデジタル資料の収集・整理・保存について。
○ 資料収集について自動的に収集できるシステムを構築した事例。どう展開し、定着されたかを聞いてみたい。
○ 資料の有用性について社内への周知に関連する取り組みについて。
○ 多くのグループ企業を抱える機関のアーカイブズ。
○ 現用と非現用のアーカイブズが繋がっている仕組みが構築されている事例。
○ 企業内デジタル情報の保存体制をめぐり、制度、技術、費用対効果などについての意見交換の研究会開催。

                                                                     以上 

「情報の科学と技術」Vol.62(2012),No.10に掲載された論文がオープンアクセスになりました。抄録とキーワードを掲載いたします。

抄録:
組織アーカイブズとしてのビジネス(企業)アーカイブズは「多様な価値を持つ経営資産」である。現在国内外では、組織内アーカイブズの価値を高め、それを通じた親組織の経営の質の向上に寄与するアーカイブズの活用が進められつつある。一方、記録管理(レコードマネジメント)とアーカイブズを結び付けるレコードキーピングの未確立、組織内アーカイブズへのアクセスに関する相反する考え方の存在、アーカイブズ理念とそれに連動する評価選別に関する考え方の未整理、アーカイブズ担当者(アーキビスト)が業務に精通し付加価値を生み出すための教育研修のあり方、海外現地法人のアーカイブズ管理の困難さ、といった課題が存在している。

キーワード:
ビジネスアーカイブズ、企業アーカイブズ、付加価値、アクセス、レコードキーピング、レコードマネジメント、記録管理、アーキビスト、評価選別、社史

全文は下記からご覧下さい。
 

質問者:キッコーマン株式会社国際食文化研究センター 舩田一恵
回答者:紙本・写真修復家 白岩洋子

質問:
 写真が水に浸かり変色してしまった場合の処置について。
工場の設備写真がポケットアルバムに収納されていますが、アルバムの半分くらいが水に浸かり、乾いて黒黴が生えてしまいました。カラー写真の色が変わってしまったものを修復することは出来るでしょうか?とりあえず、刷毛で黴と塵を払い、アルバムの未使用のポケットに入れております。

回答:
 水損写真の原因としては、洪水、津波、消化の際の水濡れなどがあげられますが、特に写真において致命的なダメージのひとつは水損後のカビの繁殖による被害です。写真に使用されているゼラチンは親水性があるため、水分を吸収した状態が続くと膨潤、溶解します。また、そこにカビや菌類が発生しやすくなり、そのまま放置すると画像の破壊やインクや染料にじみが起き、元に戻すことが出来なくなります。

 ご質問にある写真の修復可能な処置に関しては、
1)カビが進行、再発生する可能性もあるため、まず、全ての写真を複写します。
2)カラー写真の色が変わってしまっていたり、色が溶けてしまっている部分はゼラチン色素層が溶解してしまったため、残念ながら修復できません。
3)まだ汚れが残っている部分に関しては、色が溶解してしまっている部分を避け、水と綿棒で部分的に拭き取って下さい。
4)ポケットアルバムは未使用のポケットに入れるのではなく、新しいものを使用して下さい。

 今回のようにアルバムが水に濡れてしまった場合は、ポケットの中に水分が溜まってしまい、そのままではすぐには乾きません。出来るだけ早くアルバムから写真を取り出し、乾燥させることが重要です。もし浸かっていた水が汚水であれば、一度きれいな水で写真を洗ってから乾かします。なお、一般的によく見られるプリントの印画紙は主に二種類あります。1970年代より前のカラー写真、白黒写真はバライタ紙という印画紙が使用されており、一度水につけてから乾かすと、カーリングしてしまいます。その場合は少し表面を乾燥させた後、シリコンシートや不織布を写真の表面にのせ、吸取紙やフェルトのような水分を吸収するものに挟んで乾かします。画面がデリケートなので注意が必要です。現在も使用されている1970年代以降のカラープリントはRC紙というポリエチレン層があるもので、そのまま乾燥させてもカーリングが起こりません。

 以上の処置は被害が比較的小さく、作業が出来る時間とマンパワーがある場合ですが、そうでない場合はまずそのまま乾燥させるか、余裕があれば水で洗浄してからとりあえず乾燥させます。カビを防ぐために相対湿度65%を超えない場所で保管します。また設備があれば専門家の立会いのもと、濡れたまま写真を冷凍し、後から作業を行うという方法もあります。

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研修部会では資料の活用や保存などに関する管理の問題で、ご質問やご意見をお待ちしています。(掲載する場合の匿名は可とします)
また、ビジネスアーキビスト研修講座に関するご意見あるいは社史に関するセミナー、博物館に関するセミナーについても、ご意見、ご要望をお待ちしています。

kenshu@baa.gr.jpが専用メールアドレスです。 


 
 
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