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12月3日(木)の応用コース第5日は、共通テーマとして企業ミュージアム(企業博物館)をとりあげた。
前半の「企業とミュージアムの関わりについて」では、広く博物館の調査・研究に従事されている石川貴敏講師(株式会社丹青研究所)が、近年における企業ミュージアムの新設やリニューアルの傾向をはじめ、企業ミュージアム間の連携の状況、公立博物館と企業の連携など新たな動きについて、データや実例をもとに解説された。
後半の事例研究では、2012年11月に開館した「製粉ミュージアム」(群馬県館林市)の設立背景と施設概要、今後の展開や将来像について、運営担当者である株式会社日清製粉グループ本社の田中良和講師による報告があった。
二つの講義を通じて、企業ミュージアムとアーカイブズとの関わりを考える、よい機会となった。

報告:研修部会
 

11月26日(木)の応用コース第4日は企業アーカイブズで、関心が高いテーマである「デジタルアーカイブ」の基本的な知識の講義と、実際に企業で実践する際の課題を2コマで取り上げた。

 デジタルアーカイブを考える上で必要な技術知識は、避けて通れない内容であり、実務上最低限知っておくことで仕事がよりスムーズに進むのではないだろうか。講義内容量が多いこともあったが、既に習熟された方はおさらいとして、そうでない方には良い指針になったと思う。アーカイブズの実務面でのいくつかの事例を挙げた講義は、担当者にとって直面する課題解決に役立つ内容であったと思う。企業アーカイブズに標準型はなく、企業それぞれの実情に即して考えていかなければならない。その意味で今日の講義は有意義なものになったと思う。

担当:研修部会 

11月19日(木)の応用コース第3日は、「ビジネスアーカイブズでの資料の保存と管理」「資料の劣化要因と保存対策」の二つの講義と、セミナー会場と同じ建物にある東京大学経済学部資料室の見学、の3本立てであった。
文化財保存環境の研究者である佐野千絵講師(東京文化財研究所)が担当された1本目の講義では、資料を保存する際の場所や空間などの“大環境”について、株式会社TTトレーディングの神谷修治講師による2本目の講義では、紙資料を中心に保存容器などの“小環境”の問題について、それぞれ最近の動向なども踏まえながら学ぶ機会を得た。そして、これらの講義で説明のあった資料保存の取組みの具体例を、経済学部資料室の見学で目の当たりにすることができた。

報告:研修部会
 

近年、社会的にコンプライアンスの重要性が高まり、「盗用」「パクり」「模倣」といった言葉がニュース等でも話題にのぼることが多い。そうしたなか、11月12日(木)の応用コース第2日は、ビジネスアーカイブズに関連する「法律」がテーマであった。弁護士の伊藤真先生を講師に迎え、著作権を中心に、商標権やパブリシティ権など、企業資料館や社史編纂でとくに問題となると想定される内容を、実際の事件の例などを交えながら解説された。

ビジネスアーキビストが法律の専門家になる必要はないが、実務において、自社の法務部門などに相談すべき事項かどうかを的確に判断できるセンサーを持って欲しい、との言葉で講義が締めくくられた。

報告:研修部会
 

10月29日(木)の応用コース第1日は、企業アーキビストが最低限やっておくべき業務のステップを順に追った内容の講義であった。講師である麗澤大学大学院教授の佐藤政則先生自身が、実際に企業等で資料整理に携わった経験をベースに、紙資料(アナログ資料)とデジタル文書の双方の観点から、実践的な資料管理を進めるうえでポイントとなる事項を、具体例を交えて解説された。

講義の中では折に触れて、受講者に対し、企業アーカイブの活用による自社全体の業務支援を強く意識した能動的・野心的な取り組みを呼びかけられた。


報告:研修部会
 

10月22日(木)、基礎コース最終日として東京大学名誉教授の武田晴人先生の講義でしめくくった。

企業史料はその社会環境や制度、時代背景を念頭に入れ、史料を読み取っていく大切さを学んだ。講義後半では史資料に向き合う姿勢とともに、新たな資料を探す、集める、まとめるための指針は企業の担当者にとって大いに参考になったと思う。

基礎コースを通して、参加者の活発な意見交換と積極的な交流姿勢が感じられ、充実した4日間であったように思った。応用コースが楽しみである。

 

 10月15日(木)に講座の3日目が開講された。東京理科大学大学院の橘川武郎教授の講義で、受講者にとってとても参考になったと思われる3時間であった。
 社史の三つの役割や、さらに社史にはストーリー性が絶対要件であるというお話などここで報告したいことは沢山あるが、特筆すべきは参加者と一体となった全体の構成である。全員の受講のきっかけをその場でお聞きしてからスタートしたことにより、一体感が生まれた。さらに質問時間を大幅にとってのやり取りは素晴らしかった。
 その中で企業にとっての社史の大切さ、資料室の大切さを何度も確認されたことで、終わった後の全員の満足感が伺われる感じがした。

報告:研修部会 

@「デジタルアーカイブの現状と課題」(株)ふじわらロスチャイルド
  坂田恵美子氏
A「超長期保管メモリ・システムの必要性と課題」神奈川大学非常勤講師
  小林敏夫先生

 前半の坂田氏に長期保管のこれまでの推移と現状を、小林先生にそもそも長期保管とはどういうことなのかを解説していただいた。先生は、今これが良しとされているマイグレーションはかかるコストの面からも、根本的な解決策にはならず、長期(出来れば超長期)の保管が可能なメディアの出現を待たなければならないとするお考えです。坂田氏の現状解説には先生もフォローをしていただいた。
 この現状は現在の電子技術が処理する技術に偏っていて、保管(保存してイミの理解を保証する)する技術が全く進んでいないことを表しているということが判り、その深刻さに驚かされた。
 今後はこの大切な課題を機会あるごとに考え、発信していく必要性を感じる。(参加者:42名)

報告:研修部会


 

 10月8日(木)に講座の2日目が開講された。(株)出版文化社アーカイブズ研究所の小谷允志さんの講義で、文書と記録の違いからスタートし、レコードマネジメントとアーカイブズの連続性の問題など基礎的なお話で全体が段々はっきりしてくる。
 企業アーカイブズの課題として、移管の重要性を考えればアーキビストの役割の大切さが浮かび上がってくる。特に、資料がアーカイブズへ来てからの問題ではなく、その前から意識する必要があるという認識はそうは思っていなかった人も多かったのではないか。
 そして日本でなぜアーカイブズが根付かないかを、日本独特の思考の風土にも原因があるのではないかという小谷さん独自の視点での指摘は新鮮であった。

報告:研修部会 

 10月1日(木)に2015年度講座の初日が開講された。初日に相応しく、学習院大学大学院教授の安藤正人先生に、アーカイブズの総論とアーキビストについて、総論でありながら堅くなく、事例を豊富に取り入れてお話いただいた。特に前半は歴史にみるアーカイブズの本質ということで、外国の事例ではあったが、このことを聞くことで、このことを意識のどこかに持つことで、日常の業務の指針になると感じた。それにしても日本のアーカイブズの遅れていると言って語弊があれば、スケールの小ささをあらためて感じないわけにはいかなくなった。
                           
                              報告:研修部会 

 
 9月17日に株式会社資料保存器材をお訪ねして資料の修復作業と保存容器の製造工程を目の当たりにしながらの学習体験をした。場所の関係で16名という少人数であったが、全員が目を輝かせながら熱心に勉強し、質問を繰り返した。はじめて見たり聞いたりした事柄も多かったのではないか。貴重な3時間半であった。
                 
                                 報告:研修部会 

都立中央図書館では、東日本大震災により被災した岩手県陸前高田市立図書館所蔵の郷土資料を修復しています。このたび第一次として受け入れた被災資料の修復が終わりました。資料返還を期に、修復の様子などを記録したDVDが完成しました。

記録はユーチューブでもご覧いただけます。下記リンク先をご覧ください。

「大津波からよみがえった郷土の宝―陸前高田市立図書館郷土資料の修復」
 https://www.youtube.com/watch?v=2YT0uGFYhAc
 

7月10日開催しました第5回資料管理研修セミナー「資料活用のための目録作成のヒント〜資生堂企業資料館での資料整理を事例として〜」の当日の発表スライドを、講師の皆様のご厚意により、下記リンク先のスライドシェアにて公開しております。どうぞ参考にご覧ください。

(3)「アーカイブズ資料記述および目録編成の一例 〜資生堂企業資料館所蔵資料を例に〜」 学習院大学大学院アーカイブズ学専攻 博士後期課程 清水ふさ子

*スライド中のリンク先資料(資料1、等)は公開していません。
*本発表のもととなった清水様の修士論文は、学習院大学大学院人文科学研究科アーカイブズ学専攻事務室にて公開されています。
 

7月10日開催しました第5回資料管理研修セミナー「資料活用のための目録作成のヒント〜資生堂企業資料館での資料整理を事例として〜」の当日の発表スライドを、講師の皆様のご厚意により、下記リンク先のスライドシェアにて公開しております。どうぞ参考にご覧ください。

(2)「目録の標準化とは何か」 東京大学文書館 森本祥子准教授
 

7月10日開催しました第5回資料管理研修セミナー「資料活用のための目録作成のヒント〜資生堂企業資料館での資料整理を事例として〜」の当日の発表スライドを、講師の皆様のご厚意により、下記リンク先のスライドシェアにて公開しています。どうぞ参考にご覧ください。

(1)ICA=International Council on Archivesについて(松崎裕子・企業史料協議会理事)
 

 本年4月25日に発生したネパール大地震により人的、物的と同時に多くの文化遺産も被害を蒙りました。
 そうしたなか、日本において、マダン図書館救援グループ(代表:安江明夫・企業史料協議会副会長)が立ち上がり、活動をしています。具体的には同図書館からの救援要請が届きました。その情報が公益社団法人日本図書館協会のホームページに掲載されております。
 

 ぜひ、ご覧下さい。 

 この度、公益社団法人日本図書館協会から「図書館資料としてのマイクロフィルム入門」が刊行されました。
 東京大学大学院経済学研究科講師の小島浩之先生が中心になって共同執筆されたマイクロフィルムの取扱いについて解説された実践書です。
 従来のマイクロフィルム入門と題された著書にはなかった幅の広い構成で、あるいは最盛期を過ぎようとしているかもしれないマイクロフィルムの世界を見事に描写し、図書館員だけではなく資料保存と活用に関わる多くの人に読んでもらいたいと感じた。

 第T部の「フィルム資料の基本」では、マイクロフィルムの基礎知識、メディアとしてのマイクロフィルム、製造・撮影現場からみたマイクロフィルムの3章構成で、ここでは特にマイクロフィルムの役割について再確認させられる。

 第U部の「マイクロフィルムの劣化と保存環境」では、まさしく企業史料協議会の会員が現実に苦労している一般写真フィルムの保存の問題に対する回答が充分に説明されている。ここではこの第U部の目次を抜粋して掲載します。

 1章 マイクロフィルムの保存と劣化対策
  1.1 マイクロフィルムの劣化とその要因
   (1) 劣化とは何か
   (2) マイクロフィルムの長期保存のための三要素
   (3) ビネガーシンドロームと酢酸による影響
   (4) 変色と褪色
   (5) 温湿度に起因する劣化症状
   (6) 非銀塩画像フィルムの劣化
  1.2 マイクロフィルム劣化対策の基本
   (1) 温湿度管理
   (2) フィルムの分離保管
   (3) 放散作業
   (4) 包材交換
  附設 水損フィルムの復旧について
 2章 フィルムの保存環境
  2.1 資料保存のための環境整備
  2.2 温湿度管理とカビ対策
   (1) 温湿度管理
   (2) カビ対策
  2.3 空気清浄と酢酸対策
   (1) 空気清浄
   (2) TACフィルムから放散される酢酸への対策

 第V部の「現状と課題」では、日本の図書館におけるマイクロフィルムの保存と現状、マイクロフィルム保存のための方策の2章構成で、前者では公的な統計をふまえて行った19機関の訪問調査、さらにそのデータに基いて行った全国的な質問紙調査の結果が丁寧に記されている。後者ではフィルムの劣化の前兆を察知してどう行動するか、これは一般写真フィルムにも当てはめることが出来、とても参考になると感じた。

記:企業史料協議会・研修部会



 

資料管理研修セミナー「デジタル時代の史資料管理」の内容を報告いたします。


 今回はデジタルアーカイブズに焦点を絞り研修セミナーが開催された。会場はほぼ満席になり、このテーマへの関心の高さを感じる。
 デジタルアーカイブズの取り組みというと、企業の中で、誰にでも賛同できる必要性が見つけられにくいゆえになかなか踏み出せない。そんな実情がこの取り組みの難しさなのかもしれない。東芝未来科学館の方のレジメにもデジタル化する課題(長期保存性、原本の扱い、実際的な効果、費用)を挙げており、担当者の悩ましい面も見せている。
 そのような現状のなか、「デジタル化」に前向きに取り組みをしている三つの企業で、中心的に活動をされている方々に講演をいただいた。虎屋文庫や東芝未来科学館のように、どちらかというと歴史や技術を継承し、活かしていくミッションのある部門の活動状況、かたやキリンのようにアーカイブズの必要性を感じつつ、部門としてのプライオリティがなかなか高くならない、いわば一般企業の一部門として置かれ、積極的に取り組んでおられるお話と、立場こそ違え情報発信、そしてアーカイブズの活用法に苦労されている現場の本音を交えたお話で、興味深くもあり、その熱意に敬服した。冒頭の東京大学大学院の岡本教授の史資料をWeb上で検索する手法として図像や「モノ」からいかに多くの情報を獲得するために検索を進めるか、他の三コマの事例と合わせ、情報整理の見方として役立つ内容であった。
 今回の三つの事例と一つの手法は参加者それぞれが自社の現状と照らし、身近なこととして捉えることが出来、さらに一歩踏み出す力を与えられたのではないだろうか。講演を終えて、よく言われることだが、「大企業だから出来るのでは・・」という声はおそらく聞こえてこなかったように思えた。

                   
記:凸版印刷株式会社 檜垣 茂  

12月3日に9日間全講座が終了しました。全課程を受講いただいた5名の方に修了証を発行いたしましたので、お名前を掲載してご報告いたします(敬称は略させていただきます)。

アサヒグループホールディングス株式会社    森田 正樹

株式会社佼成出版社     藤巻 能央

清水建設株式会社     野々村 和恵

高島屋史料館     川上 和男

日本フイルコン株式会社     宮川 孝之


どうもありがとうございました。
(企業史料協議会・事務局) 

12月3日応用コースの6日目が終了しました。内容の速報をお届けします。

参加者27名
@「付加価値を生み出す企業アーカイブズ」
講師:公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター 松崎 裕子

 企業アーカイブズの特徴を説明された後、その多様な価値に触れられた。アーキビストにとって、自社のその価値を認識する、さらに理解することは必須であることを教えられた。その上でアーカイブズの部署が業務を遂行する時にチェックすべき項目のリストが示された。今後、このリストのさらに詳しい解説がなされれば受講生をはじめ、一般会員にもとても有効であると感じた。後半は海外と日本企業の事例が紹介され、それぞれさらに詳しい情報を知りたいと思いつつ、時間の関係で終了せざるを得なかったのは残念であった。


A「「役立つ資料室」をめざして」
講師:株式会社乃村工藝社 コーポレート本部経営企画部 石川 敦子

 会社に入社されてすぐ資料室に配属され、あとは一筋に現在まで、そのお仕事を全うされてこられたその経歴には驚かされた。小さい資料室だからやって来られたとのお話でしたが、データベースの導入とその積極的な活用をはじめ、様々なプロジェクトの企画と運営によって、ついには社内のナレッジ・サービス・センターと呼ばれるようになる。社内からの「ありがとう」のひと言、「あの人に頼めばなんとかしてくれる」と頼られる、なんとも素晴らしい会社人生ではないだろうかと感じた。

記:株式会社コスモスインターナショナル 岡田 泰吉 


 
 
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