BAAトップページへ
 
《研修部会便り》キッコーマン株式会社国際食文化研究センターの舩田一恵さんから写真の著作権と所有権についてご質問を頂き、公益財団法人日本写真家協会専務理事の松本徳彦さんにお聞きしてご回答を頂きました。有難うございました。 
質問者:キッコーマン株式会社国際食文化研究センター 舩田一恵
回答者:公益財団法人日本写真家協会専務理事 松本徳彦

質問:
 写真は何枚も焼付けされ、多くの人の手に渡されます。著作権は50年で切れますが所有権は紙焼きを持っている人は誰でも持つものなのでしょうか?具体的には、弊社所有の昭和初期の写真ですが、同じものを野田(キッコーマンの所在地)の市民が市役所のアルバムに貸し出し、写真提供者として名前が出されています。この場合、この写真を使おうとすれば、この提供者の許諾を得れば使えることになりますが、弊社はこの問題では静観していなければいけないのでしょうか?昭和初期の紙焼き写真の所有権の考え方は難しいように思います。著作権と所有権の関係など、ポイントはどんなところにあるのでしょうか?

回答:
 お尋ねの自社所有の写真は昭和初期のものであれば、権利の保護期間は切れている可能性が高いと思われます。何らかの理由で同じ写真を他人が所有し、その入手方法が正当であれば、その他人には所有権があります。著作権のないものが所有権のある他人に対して使うなと法律上は言えません。
 ただ、保護期間が満了した著作物は広く国民に開放するという考え方もありますので、他人が使うことを認めた上で、提供者と言うコトバについては話し合いで決めるのがよいと思います。
 因みに、著作権と所有権の法律上の違いは以下のとおりです。
著作権の著作物は情報という無体物であり、所有権が対象としているのは物であり、有体物です。したがって原則として、著作権と所有権は無関係に並存します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 研修部会では資料の活用や保存などに関わる管理の問題で、ご質問やご意見をお待ちしています。(掲載する場合の匿名は可とします)

 また、ビジネスアーキビスト研修講座に関するご意見、あるいは社史に関するセミナー、博物館に関するセミナーについてもご意見、ご要望をお待ちしています。

kenshu@baa.gr.jp が専用メールアドレスです。 
URL